最近のお客様からのお問い合わせで、『スチールベルトは滑ってしまうのではないか』
との質問が寄せられました。我々はこのような質問をよく耳にします。
そこで、今回はこの内容について書いてみます。
確かに、スチールベルトベルトをコンベヤや動力伝達で使用する場合、プーリ(またはローラ)を金属にしたときは、スチールベルトの金属とプーリの金属、いわゆる『鉄-鉄』の接触では感覚的に滑るイメージがあります。
ディムコに長くいるこの私でも、スチールベルトに出会ったときは滑ってしまうと思ったわけですからそのような疑問を抱くことはごく自然です。
しかし、現在たくさんのお客様にご使用頂いています。
ではなぜ、スチールベルトは滑らないのか。順を追って説明します。
今、下図のようなコンベヤがあるとします。従動プーリにテンションを掛けて張ると、ベルトの上下には均等な張力が各々掛かります。この時の張力を初期張力(To)といいます。
この時のテンション荷重(F:軸荷重ともいう)は、
F=2・Toとなります。
この状態から、更に下図のように従動プーリ外径に重りを吊るし、駆動プーリを回して巻き上げようとした時、ベルトの上下は異なった張力になります。
この時、ベルトの上側を張り側張力(Tt)、下側をゆるみ側張力(Ts)と言います。
さてこの状態でベルトがスチールベルトであったなら、滑ってしまわないか。
その解決方法が、難しい名前ですが『アイテルワインの式』があります。
アイテルワインの式を見ると理解出来ます。
業界では、ベルトは『張って使うもの』ということが常識になっています。
次回はその内容を詳しく説明いたします。