薄肉金属スリーブ、メタルスリーブの各種利用方法の紹介

金属スリーブ・メタルスリーブのディムコ、開発の竹村です。

ディムコの主要製品はスチールベルト及びスチールベルトに各種の加工を施したコンベヤですが、お客様と技術検討を重ねることにより、この関連技術を生かした製品や新製法などの開発に取り組むことをしております。その幾つかを下記に紹介します。

(1)弾性表面を有する樹脂フィルム製造ロール(ディムコ商品名:エアロール)
エアロールは、ロール表層の薄肉金属スリーブを「エア圧力」により膨らませて両端を支持しているため、金属ロールでありながら柔らかいゴムロールのような弾性を有しています。
このエアロールをフィルム、シートなどに押し付けた際、広い接触面を有することができます。その結果、薄肉フィルム等の冷却・加熱、条件を変化させることにより圧延・延伸などの製造条件を改善できます。サイズはφ260から掌に乗るφ19.8まで幅広く対応しております。

(2)低慣性ロール
低慣性ロールは従来のロールのようなロール本体が回転するのではなく、ロールの表面に挿入された薄肉スリーブだけが回転します。その仕組みは、ロール本体に放射状に開けられた小孔から吹き出す圧力空気により、その外側に挿入された薄肉スリーブが僅かな隙間をもって浮上して回転します。そのため低慣性ロールは従来のロールに比べて回転慣性が20分の1以下となりました。
広幅薄肉フィルム走行のローラは慣性を小さくするために径の細いものが多く使われており、荷重を受けてたわみが大きくなることによる弊害があります。低慣性ロールでは径が太くて剛性の高いシャフトでもシャフト自身が回転するわけではないので慣性が大きくならず、低慣性のロールにすることができました。

(3)円筒薄肉パターン付き金型ロール
プラスチックのフィルムやシートの表面に微細なパターンを成形するロールとして、筒状の薄肉スリーブの表面にパターンを加工し、その薄肉スリーブをバックアップロールに圧入した金型ロールを作成しております。
薄肉スリーブは微細パターンベルトと言い、この微細パターンベルトが挿入された金型ロールにより、従来の平板枚葉方式からRoll to Rollにすることで連続的に製造を行い、生産性の向上を図ることができます。


微細パターンベルト(シームレスパターンモールド)

微細パターンベルトは板厚が0.6mmで、φ0.6の孔が無数に開けられたものから、板厚50ミクロンでミクロンサイズのパターンを彫ったものまであり、ロールのサイズはφ50~φ450まで対応しております。
これらの型は加工に大変時間がかかる高価なものですが、量産時には消耗品となります。このためこの微細パターンベルトの型を安価に製造する方法の試作開発にも取り組んでおります。

(4)ロール表面に埋められた磁石の回転による飛び出し防止スリーブ
回転ロールの表面に小さな磁石を沢山埋め込んだ回転伝動装置は、高速回転遠心力により磁石が飛び出すようなことがあります。その対策として外径に極薄肉スリーブ(ディムコ名:シームレススリーブ)を圧入することでこれを防止することができます。スリーブは強く、0.1mm以下と薄いため電気的な特性に変化なく対応ができます。

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