スチールベルトとは、非常に奥が深い、というようなことを以前ブログに書いたことがあります。それから何年か経っているとは思いますが、一層その思いを強めています。その一例をご紹介しましょう。
スチールベルトには従来できなかったことができるので、技術にも販売にも、人がやらなかったことができるという喜びや気概があります。
下の写真をご覧下さい。
スチールベルト吸引搬送システム 1
スチールベルト吸引搬送システム 2
これまでは、薄いフィルムのようなものをきちんと平坦にして高精度に搬送するということが至難でした。
ただ、『フィルムなどを平坦に置く』ということは、従来であれば定盤に微細な孔を開けて吸引したり、静電気で引いたりしてフラットにすることはできました。しかし、それを連続で搬送させる、しかも高精度にというと、ゴムベルトや樹脂ベルトに吸引の孔を開けて搬送することはできても、平坦度が得られなかったり、微細な孔を開けることができないなどで、吸引にばらつきがでてしまいます。
例えば、0.05mm以上の上下振動があっては使えないというようなところでは、平坦度も高く、しかも高速化するなどは一層不可能なこととなり、フラットな連続搬送システムというものが存在しなかったと思われます。
スチールベルトのその剛性(変形しにくい腰の強さ)、表面硬度などの高い物性で維持する平面が、スーパーフラット(デッドフラット)での連続搬送の要求に応えることができます。
また、強靭な伸びのない材料のため、高速化しても位置精度がきちんと維持され、平坦を維持して、高速運転や高速での間欠駆動にも対応可能です。その平坦性というものは、諸条件にもよりますが、具体的に、10μm以下の平坦度を維持している実績もあります。従って、プリンタブルエレクトロニクス、プリンテッドエレクトロニクスなどの微細加工の伴うデジタルファブリケーションを含め、インクジェットのようなデジタルな高速印刷、カメラでの画像検査、また、フィルムへの定荷重での搬送が必要なウェブ・ハンドリングにも、クリーン環境や静電気などの使用条件にも、また、更に生産性向上のためのフィルムやシートの枚葉かロールtoロールにしても平坦性を維持した上での高速搬送に今フィルム業界のみならず、印刷、紙、樹脂、電子部品など様々な業界より熱いコールが掛かっています。
最後に下の動画をご覧ください。用紙の表裏を吸引しています。