スチールベルトはGHGに対し、どのように関わっているのか



スチールベルトのディムコ、木曽川です。

世界的に猛暑、高温が続くこの星、地球。各国で大災害が起きていることに、地球温暖化がさらに進んでいることを実感します。 国内では2024年の今夏は大変な猛暑に見舞われ、これまで経験したことがないような大きな災害が発生していますし、これからも続くでしょう。 この要因には幾つも上げられますが、GHG(Greenhouse gas:温室効果ガス)が主原因であることは紛れもない事実です。

GHG排出量のトップは、日本では二酸化炭素(CO2)90%、次いで極端に少なくメタン(CH4)2.5%と続きます。経済発展のためには致し方ないことかもしれないが、しかしこれらも小さいことの積み重ねです。個々が削減していかなければならないことを痛感しています。 国内法でも「地球温暖化対策推進法:」により、排出量の削減を各企業、団体に義務付けています。

最近、この排出量の数値について、お客様からの提出要望が盛んに来ています。 ディムコは全体から見ると小さいことですが、このことを通して、ディムコのスチールベルトがどのように関係しているかを述べてみたいと思います。

ディムコのスチールベルトの完成までのプロセスを見てみましょう。 まず、スチールベルトの基となる帯状の金属はステンレスです。この金属鋼帯は鉄鋼メーカーから購入します。

GHG排出イメージ


鉄鋼メーカーでは、一般的な鋼帯の製造は鉄鉱石の精錬、圧延、仕上げ工程を経て作られますが、ステンレスにはクロムやニッケルが含まれるため、プロセスがやや異なり、GHG排出量も異なる要素が含まれます。以下、ステンレス鋼帯の製造における主な工程とGHGが排出される工程について述べてみます。

鋼帯(ステンレス鋼ストリップ)ができるまでのプロセスは、主に鉄鉱石の精錬から始まり、圧延を経て、最終的に薄い鋼帯として仕上げる一連の工程から成り立っています。このプロセスには多くのエネルギーを要し、GHGである二酸化炭素(CO2)の排出がなされるため、カーボンニュートラル化が重要なテーマです。

ステンレス鋼の製造では、通常の鋼にクロムやニッケルを加えることにより耐食性や強度を高めることができます。鉄鉱石に加え、これらの合金元素が含まれるため、精錬に特別な設備と工程が必要です。 GHGの排出を見ても、通常の鋼の精錬と同様、精錬炉でのコークス燃焼や合金元素の精錬にCO2が発生しますが、さらにクロムやニッケルの生成にも多くのエネルギーが必要で、これが鋼のみの精錬と比べGHG排出の大きな要因となっています。

鉄にクロムやニッケルを混ぜた後、再度溶解・精製して化学組成を整え、ステンレスの特性を最大限に引き出します。この過程では電気炉が使用されるため、電力の使用量が多くなります。 電気炉の電力源が化石燃料である場合、間接的なCO2排出につながります。さらに、クロムの還元過程でも炭素が使われることがあり、ここでもCO2が発生します。

精錬されたステンレスは高温で圧延され、鋼帯の形状にします。ここでの熱間圧延によって、厚みや幅がステンレス鋼帯として求められる仕様に調整されます。 熱間圧延には高い温度が必要なため、天然ガスなどの燃料が使われることが多く、CO2が発生します。

熱間圧延により適度な厚さになるまで圧延した後、ステンレス鋼帯を加熱しない方法の冷間圧延を施すことで高い精度と強度が得られます。これにより、ステンレス独特の強度と耐食性が引き出されます。 この工程での圧延には電力が必要であり、化石燃料で発電した電力を使用する場合は、間接的にCO2が排出されます。

さらに工程が進むと、ステンレスの表面に酸洗(酸を使った処理)を行い、不純物や酸化皮膜を取り除きます。これにより、美しい見た目と耐食性が実現されます。 酸洗工程で使用する酸の製造や加熱プロセスでGHGが発生します。また、酸洗後の廃液処理にもエネルギーが必要です。

さて、その仕上がったステンレス鋼帯を購入した後の、ステンレススチールベルトを製作する工程も見てみましょう。 スチールベルトにするためには多くの場合幅広で購入します。300、400、600、1000mm等の幅の鋼帯でコイル状に巻かれたものになります。 この幅広材をスリッターで幅狭に裁断、長さをカッティング、エンドレスベルトの場合はエンド部を突き合わせ溶接してエンドレスベルトにします。 これらの工程はすべて電力により稼働する機械でおこないます。これらも化石燃料で発電された民間の電力会社の電力を使用しています。

ここまで長く書いてきましたが、ディムコのGHGの年間排出量はざっと500tonです。 ステンレス製造では一般的な鋼よりも高エネルギーを必要とし、GHG排出削減は大きな課題です。現に先に掲げたGHGの数値の半分以上は鉄鋼メーカーから購入した鋼帯です。電気炉や圧延に使用する電力をより多く再生可能エネルギーへ転換することで、間接的なCO2排出が削減されることでしょう。また、他にもクロムやニッケルなどを含む鉄鉱石還元に水素を利用し、CO2排出を水蒸気に置き換える技術が研究されているようです。 各工程でエネルギー効率を高める装置の導入や、より一層のプロセスの見直しが進められることでしょう。 ディムコも、これからもGHG削減を務めるよう企業努力してまいります。

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