今頃になって私は悟ったように、スチールベルトが持つ底知れない深い味わいに舌鼓を打っているのです。それは、ひとつの気付きからでした。スチールベルトビジネスの極意はお客様の課題を見つめるところから始まるという覚悟を決めることなのです。
今迄わが社が提案型企業でござい、などとよく厚かましくも名乗って来たものだと、穴があったら入りたい、私はほんとうにそう思っています。今この不況期にあってはじめて解って来ました。ディムコには閉塞感が漂い、なかなか抜け出せなかったのは、それは景気が悪いからではなく、スチールベルトビジネスに相応しくなろうという気概に全く欠けていたからなのだと合点しています。このスチールベルトに正直になるということは、科学で課題を解決するんだ、という決意であり、それを厭わない探究心です。この課題をお客様から戴いたら真正面からぶつかるということがお客様本位の姿勢を貫くということと同一直線上にあるということを実感しています。本気になって、お客様のご要望を形にするということがスチールベルトというビジネスにおいてどのようなことを指すか、今更ながら目から鱗の覚醒でした。
わがディムコはスチールベルトをお使いになって課題を解決しようとされるあらゆるお客様のあらゆる疑問にお応えしたいと真摯に思っています。
ステンレス・シームレスベルトおよび極薄肉ステンレス・ロール
現在取り組んでいることのひとつをご紹介しましょう。これは、まさに高機能フィルムの製造には革命的なことです。従来から、次のような市場からの強い要請がありました。それは、ゴムのようにしなやかで弾性に富んでいて、しかも表面は光沢金属のような硬いスムーズな面が欲しいという相反するものができないか、と。
ステンレス・シームレスベルト
今プラスチックフィルムを成形する際には、金属ロールが使われていますが、そのロールで挟んで冷却したり、光学的な性能を付与したりしています。しかし、金属のそのハードロールは相対する曲面線どうしで接触している状態なので、冷却効果も透明度を上げるというような光学性能を産み出すことができないのです。これに取って換わるように5億と3年の歳月とわが社の気鋭の高いメンバーたちを投じて研究開発され、世界ではじめてのゴムのような金属ロールであり、金属ロールでありながら、ゴムのようなフレキシブルロールをつくることに成功しました。これはステンレス製のシームレスベルトと極薄肉ステンレスロールといって、とにかく0.3mmと硬い金属でありながら薄いので柔軟に変形し、金属ハードロールに面で接触することができるまさに革新的な技術開発となったのです。
ベルトの面接触
従来からの問題である冷却スピードや光学性能向上の課題を解決することが可能になりました。今フィルム業界では、液晶ディスプレイ、フレキシブル太陽電池、リチウムイオン電池用ポリマーフィルム、有機ELディスプレイや照明、などまさにフィルムの時代が到来しています。今は東アジアの日進月歩の技術的な進歩と追い上げにより日本はロールtoロールシステムという生産方式を導入し、高精度と高速化を一層向上させてゆくのに、このステンレス・シームレスベルトと極薄肉ステンレス・ロールは永い間のお客様の課題を解決すべくデビューして実用化され導入が始まりだしました。
ダブルプレス
エアロール
このお客様のご要望に耳を傾けた結果開発されたこの製品は、4月11日から13日まで開催される「高機能フィルム技術展」のブース番号 東16-2に展示されています。