ロシアのウクライナ侵攻という未曾有の事態を迎え、私たちの生活にこれからどのような困難が待ち受けるのか先が見通せません。一日も早く事態が収束することを念じて止みません。
さて、スチールベルトを使用するコンベヤの設計においては、運転中のベルトを蛇行させずにいかに安定走行させるかがキーポイントになります。なにか対策を講じなければスチールベルトは運転中必ずプーリに対して片寄りします。但し、駆動プーリ、従動プーリ、スチールベルトから構成されるコンベヤが以下の条件を満足すればこのような対策無しでも安定したベルト走行が可能です。
- 駆動プーリ、従動プーリが100%円筒である
- 駆動プーリと従動プーリが100%平行を保つ
- スチールベルトが100%円筒である
- スチールベルトとプーリ間の摩擦係数がベルト全長にわたって同一である
- 走行中のスチールベルトに横荷重が加わらない
各々を説明しますと、まずEPCは走行中のベルトエッジ位置を連続的にモニターしてずれ量が許容値を超えたら外部制御により舵取り機構で元に戻す方法です。
Vガイドは図に示すような台形断面のVゴムをスチールベルトに貼付して走行中のベルト横移動をプーリに設けた溝とVゴムのスキマ範囲内に抑えるものです。
ベルト用Vガイド
そしてクラウン方式は駆動、従動プーリにラジアルクラウン形状(中央部から両端に向かって緩やかに円弧状に加工されたもの)を設けることで、スチールベルトはプーリの幅中央部で安定走行します。EPCは工学的に正当な方式ですが、構造上ベルトの走行はジグザグになります。Vガイドは同様にスキマ分の動きを免れませんが比較的ローコストです。また摩擦による粉塵が発生します。
以上の外にベルトエッジを直接ローラー等で受けてガイドする構造がありますがベルトエッジの耐久性が課題で、特に薄物では困難です。
またスチールベルトが高温になる場合はVガイド方式は使用できず、クラウン方式も安定しません。
どの方式も一長一短があり、用途に合わせた選択が必要です。