高分子量樹脂流体をフィルム状に成形する最初の工程にキャステイング(製膜)があります。
冷却ロール使用の場合、生産フィルムの品質向上(厚みの均一性など)のためには、Tダイから押し出されたシート状の溶融樹脂液と冷却ロールとの密着位置の変動を、極力抑えなければなりません。
溶融樹脂液を冷却ロールに押し付ける方法には、エアーナイフやバキュームボックスなどの機械的な力による密着方式と、電気的な方法としての静電気密着方式があります。
各種一長一短はありますが、ここでは静電気密着方式に使用するピンニングマシンベルトを紹介します。
ピンニングマシンは冷却ロールの全幅に電極としてワイヤーまたはバンドを張り、それに高電圧を印加して樹脂液に静電気を帯電させ、冷却ロールに密着させる装置です。
この密着力は静電気力(クーロン力)と呼ばれ、帯電物体間の距離の2乗に反比例することから、電極は冷却ロール間に高張力で弛みなく近傍に寄せて張れることが必要です。
この時の電極はロール幅が比較的長い場合、バンドとしてスチールベルトであるコロナメタルベルトが使用されています。
電極の放電部であるエッジの形状は突であればあるほど、またその表面が滑らかであるほど性能が安定します。コロナメタルベルトは厚みが0.05mmと薄く、エッジは丸みを付けた丸ラウンドに仕上げられていて、均等に放電できる形状にしています。
ワイヤーは細くするほど張力に限界がありますが、スチールベルトのコロナメタルベルトは薄くでき、且つ断面を稼ぐために幅を広くすることにより高張力で引っ張ることができます。
コロナメタルベルトは多くのお客様にご使用頂いております。
専用リールに巻かれたコロナメタルベルト・ピンニング用スチールベルト
使用例
Tダイから押し出された溶融樹脂液にコロナメタルベルトで帯電
特徴
- コロナメタルベルトの放電端部は丸ラウンド処理されていてバリがない
- 厚さ0.05mmと薄く、しかし、引張り力は290Nを超える強靭さがある
- 直線に張れてたるみが出ないため、特に面長が長いドラムに威力発揮
- 重ね巻きしているのでワイヤーに比べて送り、巻取りがスムーズにできる
- 既存で使用しているベルト式リールにも巻取り可能。その場合の製作長さはご相談とします
- 放電端部が薄いほど低い電圧で使用できるため、ワイヤーでは限界の直径より薄くできるので放電効率が良い
コロナメタルベルト・ピンニング用スチールベルトのエッジ断面(放電側)
用途
- Tダイより押し出され、流れ出た溶融樹脂液に帯電させるピンニング・ピニング用電極として
製作仕様
製作仕様 | |
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寸法 厚さ | 0.05mm |
幅 | 4mm |
長さ | 100m / 200m |
最大引張り力 | 290N |
材質 | 高張力ステンレス鋼 |
※試作品からのご相談もお受けいたします。